ユリアン・ミンツ



 実は「購入するのは新書版」と拘っているために手元には全巻揃ってなかったりするんですが(読破自体は文庫版で終わっている。デュアルは全然読んじゃいねえ)、今日古本屋で正伝4巻入手成功。これで残るは正伝5巻と外伝4巻か…。

 で、4巻分感想を書いてみる。萌え倒したんで。
 いやあロイエンタール対不良中年3分間ナイフでガチバトルとか、ミッターマイヤーのフェザーン電撃占領とか、何故入院中だったのにロイエンタールが愛人変えた事知ってやがるみうら流石パパラッチ属性とか、女性談義からの酔っ払い双璧殴り合いとか…見所がたくさんあるはずなんですよ。

 でもね…ユリアン可愛いよユリアン!つーかむしろヤン提督も可愛いよ!
 フェザーン駐留を指示してそれをユリアンに反発されて「話し合わなきゃなあ…」としょぼーんとしてみたり、ふたりでベンチで気まずいひと時やってみたり、お別れ会スピーチで本国に対して愚痴りまくってみたり…最後には、出て行ったユリアンの事を思って寂しくなって酒も進まなくなったりするヤン提督ですよ。「親子の葛藤」と言うには双方があまりにも可愛いんだが。

「必要とされなくなったんじゃないかって、ユリアンはそう思ってるんですよ」
「そう言う訳じゃなくてさあ…」

 デリカさんとヤン提督のやり取りだけど、正にユリアンは「ヤン提督のお役に立ちたい」ってのが存在意義だと自分で思ってるから、ヤンに必要とされなくなる事が怖いんだよな。それは外伝のイゼルローン日記で顕著に表れているし。
 だから必死で自分の実力を磨いてきた、なのにどうしてフェザーンなんかに行かなきゃならないんですか、僕はヤン提督のお傍に居たいんです、提督のお傍でお役に立ちたいんです…と、彼の心情はそんな感じで。それに対してヤンとの話し合いの中で「お前がフェザーンに行く事は私にとって役に立つ事なんだよ」みたいな論法を受ける事で、ようやく納得できる。
 でも、その論法は、送り出す自身も納得させるために作り出した論法なんだろうな。だから、ヤンはユリアンを送り出した時点であんなにもへこんでるんだろう。

 ユリアンはヤンの傍に居たくて仕方ないのだけど、ヤンにとってもユリアンという存在が必要なんだろうな、と思った4巻。
 これを踏まえて「魔術師、還らず」「祭りの後」を読むと、凄まじく泣ける。特にアニメ版の「魔術師、還らず」ラストでのユリアンの「ヤン提督ー!」と言う悲痛な叫びに鳥肌立った人間としては(今思えばアレこそが、俺がこの作品に完全にオチた瞬間だったんだろう)。


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