滞在型コテージの台所は、本格仕様だった。更にそこに今回滞在する人間の全員が、料理に覚えがある状況である。
 そんな事情で厨房の支配者たる権利を名乗り合った結果、今晩は波留が主導して調理が行われる事となった。パスタを中心とした料理が振る舞われ、ついでにカズネ側のコテージにも差し入れられる結果となっていた。
 しかし共に食事を摂る事はしていない。調査が未だ半ばとも呼べない状況である以上、報告するような事も存在していないからだ。それにやはり調査対象に情報を過剰に横流しする訳にもいかない。波留としては杓子定規に行動するのは性に合わないのだが、それでも彼の依頼主である統括部長代理の立場を思うに、考慮はしておくべきとの判断に至っていた。調査が終了した後にその調査内容に問題点が指摘されては、ソウタの失点に繋がるからである。
 波留とミナモとホロンの食卓では、商業区画での出来事が報告されていた。主な話題は、商業区画に居る被害者への聞き込み調査と、引き続き行われていたホロンのデータ解析の進捗である。ミナモは例の孫娘との遭遇も報告する。そこに事件との関係性があるかどうかは不明だが、被害者である老女の血縁者は無事だったとの事象は有用かもしれなかった。
 どちらにせよ、情報は増えてきてもそこから法則性は未だに見出せていない。しかし今日は朝から人工島から渡って来ており、コテージでの滞在環境をこのように整える事も行っていた。人間達は疲れを感じており、1日目の調査はこの辺りで収束する事とした。波留がメタルに潜るのは、明日の朝起きてからとなる。
 そう言った情報を、ホロンが有線で電理研のソウタの元に報告する。内密な案件だったがその結論によって電理研の対応が変化するために、調査が進まなくとも定時報告は行わなくてはならなかった。
 
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