紺碧の空と蒼い海の境界線とは、一体何処なのだろう。
 それを確かめたくて、手を伸ばしてみる。
 しかしその手は中空を漂うのみで、何も掴む事は出来ない。
 掌に感じ取る事が出来るのは、爽やかな海風。おそらくは手を動かした事だけではなく、実際にこの砂浜を風が駆け抜けているのだろう。周りの空気は暖かく、若干汗ばむ心地がした。
 体重を移動した事で、足元の砂がさくりと軋むような音を立てた。波が到達して湿り気がある砂が、サンダルに纏わりつく心地がする。



 海風を受け、薄い栗色の髪が舞う。砂浜に倒れたままの白い杖が転がった。その靴に当たり動きが制止すると、杖は軽い音を立てる。
 その音に、顔を上げる。そこには閉じられたままの瞼があった。










第13話
不滅の名誉
- unanimous -

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