エルネスト・メックリンガー


 エルネスト・メックリンガー。
 後の七元帥にして「芸術家提督」として歴史に名を残す。
 と言うかその「歴史」を執筆する立場となったのではないかと思われる。

 正伝には結構早い時期から顔を見せる提督ですね。おそらくラインハルトの傍に歴史を編纂する人間を置いておいて、ラインハルトの事細かな様子を描写させておきたかったのではないかと。そういう作者の目論見から配置された提督と思ってます。
 だから最後まで生き残る。そういう立ち位置の人間だから、七元帥の中でも最後まで生き残ってそうな人です。そして他の元帥達の生き死にを見届ける…ある意味呪いみたいだな。

 キャラクターとしては、芸術に秀でているのに平民出身と言うのが意外です。芸術なんてもんは金をバックボーンとしてなきゃなかなか大成出来ないのにな。
 そりゃあ彼に才能があったにせよ、その才能を見出されるまでに自分で育てておくには、それなりの金と手間が必要だろうし。だから、結構な大富豪の出身なのかなあ。で、軍人なんて言う好き勝手な放蕩を出来るって事は、跡を継ぐ必要はなかった立場。次男三男それ以降。

 でも彼自身は軍人になるつもりはなかったんだっけ?だとしたら…うーん。逆に金がなかったのかなあ。ある程度の芸術には触れていたけど家から放逐されたりして、仕方ないから士官学校に転がり込んで生活の糧を得たりしたのかな。
 で、士官学校で選択か必修か知らんが芸術関係の課程受講したりして、そこで才能を発揮させてみたりとかな。士官学校ともなればそれなりに地位がある人間にも見られているだろうから、学校内のコンクールなんかで特賞獲ったりして展示されたりしたら、審美眼がある貴族や富豪なんかに見出されてもおかしくはないし。
 その辺でヴェストパーレ男爵夫人とも縁が出来たりしましたかね。

 男爵夫人との関係も不思議なもんですな。愛人関係ではないが、パトロンではあったようです。彼女は純粋にメックリンガーの才能に惹かれていたって事か。
 それに、メックリンガーは彼女と知り合った時点では既に軍人としても芸術家としても、自分を養えるだけの金を生み出す事が出来ていたってのも大きいのかな。だから敢えて愛人関係やる必要はなかった、つーかパトロンすら不要だったのではないか。結局は夫人は彼の芸術的才能の「ファン」に過ぎないのではないか。

 芸術家ですから立ち振る舞いでも女性に優しい紳士的な人なんでしょうな。普通に結婚相手には困りそうにありません。でも芸術に生きる人みたいですから、結婚に意味を見出さないかもしれません。
 どうなんだろうな。男爵夫人とくっつくのが王道なのかな。でも夫人自体が正伝に顔を出さなくなっちゃったから、メックリンガーともそのうちにフェイドアウトしちゃったのかなあ。
 ラインハルトが政権を握ってしまって彼女はどうなったんだろうな…多分リップシュタット戦役では中立かラインハルト寄りの立場にあったと思うから、財産没収なんかはされてないと思うんだが。貴族的特権が失われても大丈夫な才覚があると思うしなあ…。

 軍人としてみたら、結構な便利屋かつ調整屋ですね。派手さはないが内政向き。ケンプの遺族への戦死報告は彼にしか出来なかっただろうし、その後も色々と後方支援をやっている。ミュラーは気遣いの人だろうけど、メックリンガーは気遣いに加えきちんとした打算が出来る人。と言ったら語弊があるが、政治的判断の上で気遣いが出来る人って事で。
 この人が次の軍務尚書になるんかな。一気に軍務省内で胃痛患者が減りそうですな。


[TALK top] [SITE top]