その台詞は、僕にとって大きな衝撃だった。
 対等の相手………?
 僕をそう認めてくれる人がいるのか?
 無論、僕はこの人に較べて圧倒的に無力だ。きっと彼も僕を励ましてくれているだけなのだ。少しは役に立つから連れて行ってくれるだけなのだ。きっと、そうに違いないのだ。
 それでも――僕は、誰かに、頼りにされた事が、今までにあったろうか――?





 僕は彼の胸を掴んだ。無礼だとは判っているが、彼の服を掴み、僕の顔に押し付けようとした。銀の彩りが僕の熱い顔に当たる。熱い――そうだ。このままだったら僕は泣いてしまうのだろう。
 こんな人がいる訳ないんだ。
 僕を認めてくれる人なんか、いる訳ないんだ。
 でも――仮に居るのだったら、居て欲しい。僕を認めて欲しい。誰か、僕を見ていて欲しい。
 胸に微かな痛みが走る。
 こんな人に居て欲しいという気持ちと、居る訳がないと言う気持ち。
 僕の気持ちはまるで瞳の色のように、いつも矛盾している。だから何処かが痛むんだ。何処かが歪んでしまうんだ。
 こんなにも真っ直ぐに、前を見据えている人が、眩しくて仕方ない。夜闇の中の弱々しい月明かり。それが彼の明るい色の髪にちらつくと、何故だか酷く光を帯びているように思える。金髪――と言う程明るくはない。もう少し明度が落ちていて、オレンジや茶色の色彩でもなくて――何色と言えばいいんだろう?

 
只、彼が帯びている光の属性が、僕には凄く眩しかった。



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